こんにちは。
今回のテーマは「前十字靭帯損傷 動画解説!」です。
以前にも記事にて紹介したことがありますが、静止画のみではイメージしづらい面もあります。
なので今回は実際の受傷シーンをYouTubeで探して解説しようと思います。
動画はDerrick Rose選手の前十字靭帯損傷シーンです。
痛いシーンが苦手な方は、注意して下さい。
前十字靭帯損傷
前十字靭帯損傷がバスケットにおいて起こりやすいということは以前の記事でも書きましたので、復習がてら御覧ください。
記事でも書いているように、損傷のタイプには「接触型」と「非接触型」の2タイプがあります。
接触型はラグビーやアメフト、サッカーなどで相手からタックルを受けて受傷することが多いです。
それに対し、非接触型は自分の体の使い方が問題であることが多く、
ジャンプの着地やターン動作において「Knee in Toe out」とよく言われる膝にとって良くない姿勢が起こることで発生することが多いです。
(実はもう少し詳しく言うと、このKnee in Toe outは靭帯断裂の結果起こる姿勢である可能性が示唆されています。最も大きな問題はつまり外反であるとする研究者もいるようです。)
接触型の損傷は、言ってしまえば防ぎようのない事故のようなものです。これを予防するとなると競技自体ルール変更などが必要となるレベルの問題です。
それに対し、非接触型の損傷は自分の体の使い方に起因することが多いので、トレーニングにて予防することができます。
さらに、先程も書いたように「Knee in Toe out」といった、具体的な良くない姿勢が前十字靭帯損傷を引き起こすということが多くの研究で分かっているので、予防トレーニングも具体的な方法が示されています。
バスケにおいても、この非接触型損傷をいかにして予防していくかが課題となっています。
NBA非接触型損傷
ということで、今回集めた2つの動画は前十字靭帯の非接触型の損傷です。
Derrick Rose
左膝の前十字靭帯を損傷した場面です。
右側へギャロップステップで相手を交わしていき、最後の両足着地にて左膝を受傷します。
足の運びは左→右→両足着地ですね。
両足着地のシーンを切り取って見ましょう。
着地直前の姿勢では両足ともにスネの骨が体の軸に対してほぼ平行にみえます。
着地後、急激に左膝が内に入り、スネの骨が内側に傾きます。(体の軸に対して内側にスネが傾く)
これをKnee inと呼びます。前十字靭帯が断裂したのはこの着地の瞬間です。
いつものように、両足ともに体の軸に対して平行を維持したまま着地していれば前十字靭帯を損傷することはなかったのでしょう。
おそらくですが、このシーンのRose選手はシュートを狙っています。
得意のギャロップからのシュートです。
ただこのシーンでは、リングに対して身体が右に向きすぎており、そこからシュートに行くためには身体を左に回す必要性が生じます。
エラー動作を修正するために生じた、身体を左に回旋させる力が相対的に膝を「Knee in」に誘導し、着地の衝撃が加わったことで前十字靭帯は損傷したものと思われます。
いくつか両足着地で成功したシーンも載せておきます。
成功姿勢と受傷姿勢を比べるとどれだけ膝が内に入っているのかわかると思います。
さらに、受傷シーンではシュートに向かうには体の角度がどれだけ厳しかったかも、ペイントエリアのラインを見れば、バスケをしている人にはイメージできると思います。
つまり、リングに対してもう少し身体を向けて着地していればいつものようにシュートまで行けたのですが、今回はそれが少しズレ、それを修正しようとした結果、Knee in が誘発されたということです。
プロのスーパースターの身体能力を持ってしても、こういったほんの少しのズレが前十字靭帯の断裂に繋がるということです。
前十字靭帯損傷予防に必要なこと
おそらくですが、このレベルの強度のプレーを日本人でできる選手は少ないでしょう。
Rose選手の場合は、この着地からシュートに行くという+αを加えたために受傷したと思われます。
それは先程述べたように、シュートにいくにはかなり厳しい着地だったと言えるでしょう。
では我々のレベルで前十字靭帯損傷を予防するために、彼から学べることとは何でしょうか。
それは「無理なステップを踏まないこと」
ではありません。
まずは片足でも、両足でも着地動作においてKnee inをしない身体作りをすることです。
女子選手の練習を見に行くと、絶対に何人か着地動作でKnee inする選手がいます。絶対に何人かいます。
それが100%前十字靭帯損傷につながるわけではありませんが、そのKnee in動作が受傷リスクを高めていることは明らかになっています。
身体作りとは、まず知ること、理解すること、そして予防トレーニングを実践すること、です。
予防トレーニングはネット上でも様々紹介されています。
もちろんBMSLでもすでに記事にしました。
ケガをする前にできることはたくさんあります。
自分の選手としての将来を考えれば、実践しない理由はないと思います。
いかがだったでしょうか。
Knee inが膝にとって致命的な姿勢になりうることがイメージできましたでしょうか。
Rose選手は過酷なリハビリを経て見事に競技復帰を果たしましたが、
ケガをしなければ…と思うファンは多いはずです。
これはすべての選手、プロもアマも子どもも大人も共通です。
ケガはしないに越したことはありません。
後悔しないためにできることはやっておきたいですね(^^)
長文失礼いたしました。
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