こんにちは。
BMSL(@Basketball_MSL)です!
BMSLでは、読者の方のシュートフォームを分析させていただいております。
この分析が結構好評で、依頼者の方には何かしらの新しい視点を提供できているようです。
非常に嬉しいことですね(^^)
そこで、今回は、実際に行ったシュート分析の結果の一部を公開し、多くの選手、指導者の方と共有できたらと思います。
もちろん、公開許可を頂いた依頼者の方の分析内容になります。
今回は「シュートの際に膝が前に出すぎてしまう」という悩みを持つ選手のシュート分析です。
フォーム見てー!という方はTwitterのDMに送りつけてください笑
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資料タイトル一覧
- 機能解剖学に基づくシュートフォーム
- シュート探求:肘の挙がりと曲がり
- No!More!オスグッド・シュラッター病
- Physical Fitness Test for Basketball Players
「曖昧なシュート指導からの脱却」、「障害予防の啓発」、「バスケに特化したスポーツテストの普及」を目指し、資料を作成・販売しています。ぜひチェックしてみてください!
「膝が前に出すぎてしまうのですが…。」
この悩み、皆さんはいかがですか?
シュートの際に、膝が前に出すぎてしまうということを気にしている選手、指導者は意外と多い印象があります。
しかし、
「どれくらい出ると、出すぎなのですか?」という問いには意外と答えられない。
さらに、「シュートの際に膝が出すぎることが、どんな悪い影響を与える?」ということも実はよくわからない…。
ほとんどの人が経験論で、こうした問題に立ち向かっているではないでしょうか。
もちろん私にも明確な答え(良し悪し)があるわけではありませんが、
バイオメカニクスや解剖学的視点でもってこういったことを分析すると、選手や指導者の方にとってはとても良い視点になるようです。
シュートフォームに関しては様々な考え、視点があることを前提として、BMSLでは独自の視点でシュートフォームを分析しています。
ご意見大歓迎です!シュートに関してもっと話しましょう!
さぁ、書いていきますよ(^^)
膝が前に出るという現象について
まず、この「膝が前に出る」とはどういった現象なのでしょうか。
ようはシュートの際に膝を曲げますが、その時に膝が前に出てしまうということのようです。
画像で見てみると、
こういった現象ですね。
ただ、これを「出すぎている」と、誰がどう決めるのでしょう。
「膝をつま先より先に出すな」
これ、皆さん聞いたことありますよね。
もはや格言のようになっていますが、この言葉、一体何だと思いますか?
私は、筋トレとしてのスクワットを習う際に出会った言葉です。
スクワットとは肩に重りを担ぎ、しゃがんだり、立ったりしながらする筋トレのことですが、これもバイオメカニクスを学ぶと、
膝とつま先位置の関係は、負荷をかけたい部位によっては変えても良いという事がわかりました。
つまり、しっかりと考えられたトレーニングであるならば、膝がつま先より前に出てもNGではないということです。
この「膝をつま先より先に出すな」という言葉が発生した理由として考えられるのは、ケガから膝を守るためではないかと思います。
BMSLでも何度も登場している、この画像の出番ですね。
AとBはどちらも腰の位置は同じですが、負担のかかる部位が大きく異なります。
膝が大きく前に出ると(A)、大腿四頭筋の筋収縮がかなり強く生じてしまうので、これを高負荷であったり高頻度で繰り返すことがケガにつながるということです。
BMSLでは、ディフェンスの姿勢やその練習に関して様々な提言をしてきました。
しかし、今回のテーマはシュートです。
はたして、シュートでも膝はつま先から出てはいけないのでしょうか。
NBA選手をみてみる
こうした時には、NBA選手のシュートを見るのが手っ取り早いです。
最近では動画も画像もネット上にたくさんありますからね。
彼らのしている動作が100%正解であるとは言えませんが、我々がアーダコーダ理論を述べるよりも、結果で示してくれている分、信頼できますよね。
これがカリー選手とハーデン選手の、膝が一番曲がった瞬間を切り取ったものです。
わかりますかね。
つま先よりも膝が前に出ています。
つまりこれから何が分かるかというと、シュートの際には
「膝がつま先より前に出ても構わない」
ということです。
NBA選手全員のシュートを調べたわけではありませんが、ほぼ間違いなく膝はつま先から前に出ます。
これは解剖やバイオメカニクスを少しでもかじっていれば、そこまで難しい問題ではありません。
体幹と膝の関係
シュートの際に膝が前に出る理由を書いていきましょう。
これはとても簡単です。
図で見るとわかりやすいのですが、
ようは、体幹を垂直に近づければ膝が前に出るのは当然であるということです。
よく「膝を前に出さず、股関節を曲げてシュートを…」という話も聞きますが、その理論が通用するのはセット時のみです。
シュートはリリースに向けて体幹を垂直化していく動作ですので、膝を前に出さないと体幹は前を向けません。
体幹を前に傾けたままでは、シュートにループをかけるのは至難であり、非効率的な動作になってしまいます。
つまり、シュートにおいて膝がつま先より前に出るという現象は、理にかなった身体現象であるということができます。
意外だった方もいるのではないでしょうか。
いわれてみると、たしかに…。
膝を前に出しすぎることの弊害
次は膝を前に出しすぎることの弊害についてです。
とはいっても、「どこから先が出しすぎなのか?」という問題はなかなか難しい問題です。
ただ、どんな弊害が起こるのかを考えることはできます。
① 速さの問題
1つは速さの問題です。
関節が曲がって伸びるという動きをする以上、必ずその動きには時間がかかります。
同じ速度で関節を曲げ伸ばししたとすると、関節を大きく動かしたほうが伸ばすまでに時間がかかるのは分かると思います。
つまり、大きく曲げれば曲げるほど、伸ばすまでに時間を要するということです。
シュートは下肢の力を伝えるために、膝をしっかり伸ばしてからリリースに向かうのが理想です。
そのため、大きく曲げる分だけ伸ばすのに時間がかかり、その分動作自体が遅くなるということが言えます。
シュートにおいて、動作速度って超重要です。
だからトップ選手にはシュートの際に、膝をしっかりゆっくり曲げ伸ばしする選手がいないのです。
カリー選手、クレイ選手、ハーデン選手、ルカ選手、みな膝の動きはチョコッとすばやく動かすだけですよね。(フリースローは別ですが…)
動作の速度という視点から見ると、膝が前に出すぎることはシュート動作において不利に働く可能性があると言えます。
② パワー発揮の問題
これは前述の動作速度とも深く関係する問題なのですが、大きく曲げて動く膝には、それなりの時間がかかり、時間のかかる動きではより速いパワーを発揮することができません。
ボールを速く投げたいのに体の動きがスローでは、うまくいきません。
ボールに速いパワーを伝えるためには、身体もその分速く動かなければいけないのです。
これはバスケのシュートにおいても同じです。
ボールをリングに投げる速度よりも遅く膝を曲げ伸ばししているようでは、ボールに速いパワーは伝わりません。
より飛距離を出したいのであれば尚更です。
よく言われている「しっかり膝を曲げて、力を伝える」というのは実は不十分な指導法で、より飛ばしたいのであれば、「より速く膝の屈伸を行い、力を伝える」なのです。
また、このパワー発揮の問題には、SSCという概念も絡んでいると考えています。
SSCとは以前、ドライブの記事で「プレジャンプ」を紹介した時に出てきた概念です。
より効率的に強く速い力を発揮するには筋肉や腱の解剖学的特性を利用した動きが重要になります。
シュートにおいても、ゆっくり膝を曲げ伸ばしするよりも、一瞬で筋腱の弾性を利用して屈伸をしたほうがより効率的に力を発揮できる(ボールに力が伝わる)ということです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
依頼者の分析内容の一部を記事にしました。
実際の依頼はもう少し複雑なものでしたが、今回は記事にするに当たり抜粋させていただいております。
様々な依頼がありますが、まずは身体現象(フォーム)を確認し、依頼者が悩んでいることや気になっていることから分析に入っていきます。
良し悪しまでは言及できなくても、やはりシュートについて考え続けていた選手にとってはこういった一つの視点が大きなヒントになるようです。
シュート分析面白いですよね。
皆さんのシュートはどうでしょうか。
もしかすると、あなたのシュートはもっと入る、もっと飛ぶようになるかもしれませんよ(^^)
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
すべてのバスケ選手、フィジカルを強化せよ…!
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