シュートで「脇を締めろ!」ってコーチに言われるけど、
きゅうくつなんだよなぁ…。
まだ慣れてないから?仕方ないの?
実は、シュートにおいて「脇は締めなくても良い」です。
無理に締めてしまうと、良くない影響が出る可能性があります。
な、なんだって…?!
こんにちは!BMSL(@Basketball_MSL)です!
「肘を立てる」に続き、「脇を締める」を科学していきたいと思います。
「肘を立てる」に関しては、物理学的、解剖学的に合理的であるということがある程度わかりました。
↑の記事では、結局、全てのフォームはボールの重心を捉えるための戦略であるということもお話ししています。
さて、「脇を締める」は合理的な動作なのでしょうか。
この記事でなにか指導のヒントを見つけていただければ幸いです。
- 本記事の筆者
「脇を締める」の科学
まず、物理学と解剖学の視点から「脇を締める」をみていきましょう。
「脇を締める」の物理学
脇を締める動作は、肘を立てる動作と密接な関係があります。
図のように手の位置を固定したとしましょう。
脇の開きと締りは、体幹に対する上腕(肩から肘までの部分)の角度によって決まるので、
脇が開けば、肘は内側に傾きます。
反対に、脇が締まれば肘は垂直に立ちます。
となれば、脇を締めたほうがいいのでは?となりそうなのですが、違います。
多くの指導者はここだけを見て「脇は締めるべき」と考えているようです。
「肘を垂直立てる」のが目的であれば、「脇を締める」は合理的です。
ただ、、私達の目指しているものは、そこからのシュートです。
つまり、この姿勢から肘を上に伸ばしていかなければなりません。
この動作を想定すると、どうやら「脇を締める」ことが一概に良いとは言えないのです。
その理由を肩の解剖学からをみてみましょう。
「脇を締める」の解剖学
脇が締まり、肘が垂直に立った状態を解剖学的には3rdの外旋90°と呼びます。
実はこの姿勢、肩にとってはキツイ姿勢です。
実際にやってみると、結構キツイ姿勢に感じると思います。
少し内側に倒すと楽になりますよね。
この姿勢がキツイ理由は、主に上腕骨と肩甲骨の位置関係、筋肉の走行(付いている位置)にあります。
人間は肩を効率良く使うために、「肩甲骨面」をよく利用するのですが、
先程の3rdの外旋90°の姿勢は、多くの人が肩甲骨面から上腕骨が逸脱してしまう姿勢になるため、筋肉も上手く働かなくなり、キツく感じる、ということになります。
「肩甲骨面」の理解は、今後シュート指導のトレンドになっていくでしょう。
こちらにまとめていますので、ぜひご覧ください。
キツイ姿勢でのシュートは無理な動きを身体に強いるため、効率的とは言えません。
もちろんこの姿勢も時間をかけて慣れていけば苦にならなくなるでしょうが、その時間がもったいないと私は考えます。
BMSLシュート理論における「脇を締める」
BMSLシュート理論では、結論から言うと「脇を締める」という動作を推奨しません。
なぜなら、この動作は非効率的なシュートフォーム、シュート練習につながる可能性が高いからです。
これを無理に達成しようとすることで生じる、
- 体のねじれ
- 首の傾き
- 肘の内側倒れ
はシュートにおいて大きなデメリットです。
特にミニバスなど筋力のない選手やバスケを始めたばかりの選手には注意したいところです。
脇を締めずにどう打つの?!
でも、じゃあどうすればいいの?
うんうん
ここから具体的な提案をしていきますね。
一番は先程の資料を読んで頂くことですが、この記事でも少し踏み込んで説明したいと思います。
では、どうすればよいのでしょうか。
それは、「肘を立てる」を優先すればよいのです。
解剖学的に、肘を垂直に立てたまま脇を開くことはできます。
図のように、肘は身体の真横に向いていても垂直を維持できます。
ほんとだ!!
ですよね。
脇は開いてたっていいんです。
この、肘が身体の真横を向いた状態を肩の2nd外旋90°といいます。
先程のキツイ姿勢が3rd外旋90°でしたね。
勘の鋭い人や、シュートに関して考えをめぐらせている人はピンと来るかもしれませんが、
つまり、この3rd外旋90°から2nd外旋90°の間にそれぞれの答えがあるということになります。
この、前から横の間で、シュートしやすい位置を探せってこと?
そうです!
まずは楽に肘が伸びる位置を探してみましょう。
おおおおお!!?
何度も繰り返しになりますが、論理的にこの位置が知りたい方は資料をご覧ください。
\ 資料はこちらから /
「脇を閉めろ!」
「肘を立てろ!」
「リングに正対しろ!」
から間違いなく脱却できるでしょう。
もちろん、全て選手のためになることです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
「肘を立てろ」だったり、「脇を締めろ」だったり、少し前では当たり前にされてきた指導を、今一度見直そうという動きが出てきています。
無理なフォームは身に付きづらく、シュート精度もなかなか上がりません。
正しいとまでは言いませんが、より理にかなった方法でシュート練習に励んでほしいなと思います。
長文失礼いたしました。
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資料タイトル一覧
- 機能解剖学に基づくシュートフォーム
- シュート探求:肘の挙がりと曲がり
- No!More!オスグッド・シュラッター病
- Physical Fitness Test for Basketball Players
「曖昧なシュート指導からの脱却」、「障害予防の啓発」、「バスケに特化したスポーツテストの普及」を目指し、資料を作成・販売しています。ぜひチェックしてみてください!
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