こんにちは!BMSL(@Basketball_MSL)です!
みなさん「プレジャンプ」ってご存知ですか?
バスケのドライブの最も基本的なポイントは、”緩急をつけること”として周知されていると思います。
が、その緩急をつけるための具体的な体の動きはご存知ですか?
実は、それが「プレジャンプ」と呼ばれる身体の使い方なのです。
ミニバス選手でも明日から使える技術なので、ぜひ記事を読んで知って頂ければと思います。
上手に使えれば題名通り「爆発的な加速」が可能になるでしょう。
今回はNBAで最年少MVPを獲得した男の中の男、Derrick Rose選手のドライブから「プレジャンプ」を解説したいと思います。
この記事は読者の方から頂いた要望をもとに記事にしました。
もしかすると、あなたの「〇〇について書いて欲しい!」「△△ってほんと?」というお問い合わせがBMSLの記事になるかも…?!
もちろん全てにお応えできるわけではありませんが、もし気になることがあればご連絡ください。メール、Twitter、どちらでも大丈夫です。
それでは内容に入っていきましょう!
- 本記事の筆者
【基礎知識】バスケのドライブとは
そもそも、バスケのドライブとはどんなものか確認しておきましょう。
ドライブはオフェンスにとって超重要な基本技術の1つになります。
バスケにおける「ドライブ」とは「ドリブルでディフェンスを抜いてゴールに向かう」ことを意味します。
結果的に抜けなくても「ドライブ」になるそうですよ。
ボールを持ってリングに突入するので、自身のシュート成功率は上がりますし、周囲のディフェンスを引き寄せることもできます。
ドライブで相手ディフェンスを乱すことができれば、優位に試合を進めることができますよね。
もちろん、ディフェンスにとっても超重要です。
相手のドライブを防ぐことができればどれだけシュート成功率を落とせるかわかりません。
つまり、ドライブはバスケにおいて超重要項目なのです。
【基礎知識】ドライブに必要なこと
ドライブはディフェンスとの駆け引きになります。
その駆け引きの中で、ドライブを成功させるために必要なことを概論的に書いてみます。
①スペーシング
ここでいうスペーシングとは、「自分をマークするディフェンスとの距離」です。
ドライブはマークとの距離が離れているほど、成功させるのが難しくなります。
つまり相手を置き去りにするには、できるだけ距離が近いほうが有利なのです。
逆に、ディフェンスからすると、ドライブが得意な選手に対しては距離を取るのが正攻法になります。
オフェンスとしてそういう対策を取られたときに、どうするか。
そこでシュートという選択肢があると、相手は自ずと距離を詰めなければなりません。
そうなるとドライブの成功率も高まるでしょう。
まさに駆け引きですね。
ドライブとシュートはセットの技術ということがわかります。
②状況判断
言ってしまえば①のスペーシングも状況判断の内ですが、もう少し広くコートを見ることも必要です。
ドライブはゴールに突入する動きですが、その辺りには仲間、相手含め、多くの選手がいます。
ゴチャゴチャとしているところに飛び込むのは、自分のマークを抜いたとしても至難の技。
今ドライブをしても大丈夫?メリットある?を判断できると成功率は上がるでしょう。
ドライブは個人技術と考えられがちですが、
強いチームは、それを成功させるためにチームとしてシステムを持っていますよね。
③ドリブル技術
スペーシングや状況判断が完璧にこなせたとしても、これがないことにはドライブは成功しません。
トップスピードで突入するためには身体操作+ボール操作が欠かせません。
だれにでも仕掛けるのに得意なサイドはあると思いますが、左右どちらでもいける!が理想です。
それだけでDFとの駆け引きは優位に立てるでしょう。
④緩急
ドライブにおいてはここが最大のポイントです。
緩急とはつまり「スピードの差」のことで、この「スピードの差」が大きければ大きいほどDFにとって守りづらい状況となります。
この差があることでDFにズレが生じ、抜きやすくなるわけですね。
なので、
- 止まった状態→トップスピード
- ゆるゆると歩いている状態→トップスピード
をどれだけ上手にできるか(見せれるか)がドライブ成功の鍵になります。
スピード0からいきなり100にすることができれば、DFは爆発的加速に感じるはずです。
ここに今回のテーマである「プレジャンプ」が関わってきます。
NBA選手【Derrick Rose】のドライブ分析
では、爆発的な加速によってNBAの最年少MVPを獲得した、Derrick Rose選手のドライブから「プレジャンプ」を見ていきしょう。
大好きなんです…。
彼のドライブハイライトから身体の使い方を分析してみました。
仕掛ける直前の小ジャンプに注目!
引用した動画内で、Rose選手は仕掛ける直前に小さくジャンプします。
低速のドリブルからドライブを仕掛ける際にはほぼ100%といってよいほどこの現象が生じます。
そして、小さいジャンプの後、着地した足で爆発的に加速し、相手を置き去りにします。
ジャンプ後、先につく足や進む方向にはバリエーションがありますが、
この小さいジャンプからの加速という身体の使い方に注目して見てください。
【小ジャンプ=プレジャンプ】が爆発的加速を生む
実際のプレジャンプは、映像で見ていると「ふわーっときて…グンッッ!!」といった動きになります。
スピードの差が生まれる瞬間なので、とにかく挙動が速いです。
動画の中からいくつかのシーンを切り抜いて解説していきます。
まずはこちら。
左サイドでボールを持ち、左にドライブを仕掛けるシーンです。
図で示した赤点線枠が、仕掛ける直前の両足ともに地面についていない瞬間になります。
つまり小さいジャンプが行われている状態。
これがプレジャンプの正体になります。
他のシーンも見てみましょう。
少し分かりづらいですが、赤点線枠のシーンで両足が浮いています。
さらに、
ボールを持っていないシーンでも相手を振り切るために、Rose選手は「プレジャンプ」をしていることがわかります。
極めつけはこちら。
1回の仕掛けで2回のプレジャンプを利用しています。
1回目は緩急、2回目は方向転換、という超絶技術ですね。
爆発的加速とプレジャンプの関係性
では、なぜ爆発的加速にプレジャンプが必要なのでしょうか。
少し理論的な部分の解説に入りたいと思います。
他競技でも多用される技術
実はこのプレジャンプ、バスケ以外でも当たり前のように使われている技術なのです。
競技によって呼び方が異なるようですが、生じる現象は同じです。
図の左から、
- 野球の守備で打球に対応する瞬間
- サッカーのキーパーがPKに対応する瞬間
- テニスのレシーブで反応する瞬間
になります。
どのシーンも確かにプレジャンプ(赤点線枠)が行われていますが、バスケのように相手DFとの駆け引きではありませんよね。
つまりプレジャンプの本質は、速度の“差”を生み出すことではなく、限りなく速い1歩を出すことにあると考えられます。
限りなく速い1歩を出すための身体の使い方がプレジャンプということになります。
バスケはそれを利用して、相手とのズレを生み出しているのですね。
プレジャンプの基本原理
では、このプレジャンプの基本原理を専門的な視点から解説します。
①強い力を生み出す
ここで重要になる視点は「地面反力」です。
地面反力とは、地面を押した分だけ地面から押し返されるという原理で、
速い1歩のためには、それだけの力で地面を押す必要があるということになります。
なぜ強く速い力で地面を押すのにプレジャンプが有効なのかというと、
ジャンプによって自分が地面に落ちる勢いを、地面を押す力に加えることができるからです。
もちろん地面に足をつけたままでも、同じ力を発揮すれば済む話なのですが、効率を考えれば自分の体重数十キロが落ちる勢いを利用したほうが地面を効率よく押すことができます。
なにか固いものを踏み潰そうとするとき、グッと勢いをつけて踏みつけますよね。
この「グッ」を利用しているのがプレジャンプです。
これにより、ただ地面に足をつけて踏ん張るよりも、プレジャンプを利用した方が効率よく強い反力を生じさせることができ、
結果、爆発的な加速につながるということです。
②SSC(Stretch Shortening Cycle)の利用
もう一つ、プレジャンプに関する視点を紹介します。
こちらは様々な技術に応用できるので、頭の片隅にあってほしい…。
それがSSC(Stretch Shortening Cycle : ストレッチショートニングサイクル)と呼ばれる概念です。
少し前にスポーツ界で流行っていたのをご存知でしょうか。
SSCとは、筋肉と腱などのバネ特性を利用した、爆発的な力を効率よく発揮するための人間が持つ運動能力の一つです。
詳しくは国立スポーツ科学センターのサイトでわかりやすく説明されているのでそちらをご覧ください(^^)
つまり、プレジャンプによってこのSSCが働き、瞬間的な爆発力を生むということです。
プレジャンプは、こういった身体運動のメカニズムからも合理的な現象であると考えられます。
この2つの原理が詰まったプレジャンプは、
爆発的加速をしたいのであれば絶対に利用すべき技術なのです!
まとめ
ここまでの内容を簡単にまとめます!
ドライブのポイントは緩急
ドライブを成功させるにはいくつかポイントがあり、それが相互に関係していますが、その中でも今回強調したポイントは“緩急”です。
スピードの差を利用することで、相手の虚を突く、まずはこれが基本です。
Derrick Rose選手のドライブに多用しているように、効果は絶大。
これに様々なボディーワーク、ドリブルスキルも加えてバリエーションが増えればチームの武器になること間違いなし。
ドライブとプレジャンプの相性は抜群
緩急を利用する上で、ドライブとプレジャンプの相性は抜群です。
強く速い地面反力と、筋腱のバネ特性を利用できれば思い通り爆発的加速をすることができます。
このスピードの差は並のスライドステップでは対応できないでしょう。
おわりに
さて、ドライブに必要な身体の使い方として「プレジャンプ」を紹介させていただきました。
まずはボールなしで、慣れたらボールありで、挑戦してみてほしいです。
とてもシンプルな身体の使い方なので、イメージが掴めればミニバス選手でもできるでしょう。
チームの誰かが「プレジャンプ」を習得すると、その選手をマークするDFは工夫が必要になります。
そうするとDF技術の向上にも繋がりますし、さらにそれを上回る緩急の付け方をOFは考えるようになります。
これが連鎖することによって結果的にチーム力の向上も期待できますね。
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