踵(かかと)が痛いというミニバス選手がいるのですが…
「Sever病」かもしれませんね。
正しい対処で痛みのないバスケを目指しましょう!
こんにちは!BMSL(@Basketball_MSL)です!
ミニバスの体育館にお邪魔すると、意外と多いのが「踵(かかと)の痛み」だったりします。
安静にしていても復帰したらまた痛い…を繰り返すことが多い印象です。
この記事では、なぜ踵が痛むのか、どう対処するか、を簡単に解説しています。
比較的出会うことの多い痛みですので、基礎的なことからしっかりと理解しておくと良いかなと思います。
子どもたちに関わる指導者、保護者の方に読んでいただければ幸いです。
※痛みの相談があった場合、基本的に医師の診察を受けるように促しましょう。その痛みの原因、状態、リスクに関しては専門家に聞かなければわかりません。
- 本記事の筆者
子どもの感じる『踵』の痛み
運動をしている子で踵に痛みを訴えるケースは比較的多いように思います。
実際にミニバスの練習に伺って聞いてみると、必ず1-2人は「経験したことがある」と言います。
小学生の選手に踵の痛みが多いのは、この世代の身体的な特徴が大きく関係しているからでしょう。
「転んでぶつけてから」、「高いところから飛び降りてから」といったエピソードがないかを確認することは重要です。
外傷の場合は対処も大きく異なります。
詳しくは別記事で。
踵の痛みはスポーツ障害
スポーツをする子どもたちが訴える踵の痛みの多くは骨端症と言われるもので、成長期のまだ柔らかい骨に何らかのストレスが繰り返し加わることで発症します。
一種のスポーツ障害と呼ぶこともできますね。
骨端症による踵の痛みはSever病(シーバー病、セーバー病)と呼ばれ、やはり踵への繰り返すストレスが原因とされています。
詳しく見ていきましょう。
【踵の痛み】Sever病とは
基礎的な知識を確認していきましょう。
Sever病の病態
Sever病はおよそ8歳から14歳の運動をしている子どもに多く生じる踵の痛みです。
踵の骨がしっかりとした硬さになる(骨化)のは15歳頃といわれています。
そのため、まだしっかりと骨化していない踵に負荷がかかりすぎることで、何らかの問題を生じ、発症します。
Sever病の原因は伸長ストレス
踵に加わる負荷というと、歩行や走行の際に生じる踵を床につく時の衝撃をイメージする方が多いのですが、Sever病はこうした衝撃によって発症するものではありません。
その多くはアキレス腱や足の裏の腱(足底腱膜)などによる引っ張られる力(伸長ストレス)によって発症します。
なので踵に柔らかいクッションを入れてみても痛みが引かないというケースが実は多いのです。
これは少し意外でした。
クッションの問題ではなかったのか…。
私も調べていく中で知りました。
Sever病が衝撃によって発症するという報告は少ないのです。
【踵の痛み】Sever病の予後
この踵の痛みは予後は良好とされています。
予後?
今後どうなるか?という見通しのことです。
オスグッドもそうですが、このSever病もほとんど良くなります。
病態の中で述べましたが、骨化の不十分な踵の骨に対する伸長ストレスが原因なので、踵の骨化がしっかりと完了すれば自然と痛みは消失することが多いです。
なので、15歳ごろには気にならなくなる子がほとんどです。
とはいえ、スポーツをしている子にとっては由々しき問題であることに変わりはありません。
15歳まで休むわけにはいかないし…。
【踵の痛み】Sever病の治療方針
基本的には患部の安静が重要になります。
患部の安静とは、痛みの原因となっている負荷を減らすことですので、Sever病の場合は「踵に加わる伸長ストレスを減らす」ということになります。
患部の安静にはいくつか方法があります。
①運動を止める
痛みの原因であると考えられる運動を中止することは、間違いなく患部の安静に繋がります。
原因がバスケットであれば、バスケットを中止することで痛みは消失するでしょう。
ただ、踵の骨化が完了する15歳まで中止するの?ということになるので、なかなかこれを実行できる選手は少ないと思います。
うんうん
となると、2週間ほど休んで復帰し、また痛くなって休むということを繰り返す選手も出てきます。
この状況は選手にも保護者にも苦しい…。
ただ安静にして痛みを取るだけでは、復帰への道のりは厳しいのが現実です。
②身体の使い方を変える
同じ練習、あるいはそれ以上の練習をしていても踵の痛くならない子もいます。
この違いは一体どこから生まれるのでしょうか。
踵の骨化が早く進んでいるということも考えられなくもないですが、
一番に考えられるのは、痛くならない子は踵に負荷のかかりすぎない身体の使い方をしているということです。
リハビリによってこうした身体の使い方を身につければ、「踵への負荷量を減らす」ことが達成できます。
ただ休むだけではなく、これまでの身体の使い方を変える努力が必要になるのです。
その他の部位を鍛えることで、痛い部位を守ることができるのか!
そうです。
例えば股関節の強化。
ふくらはぎや足の裏の筋肉に負担がきすぎてしまう選手は、股関節が弱い、うまく使えない、といった印象があります。
ただ休むのではなく、なにかやることがあると選手も気持ちが楽になるかもしれませんね。
ただ休んで痛みが引くのを待つ、のは避けたいですね。
再発を予防するためにも。
【踵の痛み】まとめ
バスケットをする子どもたちに踵の痛みが生じるのは、ジャンプやダッシュなど激しい動きが高頻度で繰り返されるからです。
こうした負荷の高い動きを繰り返すためには、全身を上手く使って負荷を分散させる必要があるのですが、
それを、ふくらはぎや足の裏で頑張りすぎてしまう子がSever病となり、痛みにつながっていきます。
安静にしていればこの痛みは落ち着いていくでしょうが、大事なのは復帰したときに痛みを繰り返さないこと。
これを達成するためには、医師にSever病と診断された後、どのようも過ごすかが重要です。
一旦バスケはお休みになるかもしれませんが、その期間で自分の体に足りない部分を見つけ、強化しておくと、
再発の予防、さらに、パフォーマンスアップも期待できるでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
Sever病はスポーツ障害なので、予防も治療もできるケガです。
発症しても適切に対処できれば、バスケをしながらでも治すことが可能です。
実は私も踵の痛みには悩まされました。
小学校5年生くらいの頃だったと思います。
バッシュのインソールを変えるなどしましたが、痛みは変わらず、
「成長痛だから」ということで我慢し続けました。
適切に対処していれば、あれ程苦しむことなく楽しくバスケができていたと思います。
痛みを我慢しながらのバスケは、楽しいものではありません。
可能な限り減らしていきたいですね。
長文失礼いたしました。
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