こんにちは!BMSL(@Basketball_MSL)です!
今回はストレッチの記事になります。
ストレッチの中でも最もポピュラーな「ふくらはぎ」のストレッチについて理学療法士の視点で掘り下げていこうと思います。
運動前、自宅でのセルフケアなど様々な状況で活躍するストレッチですので、知っておくと効率も効果も上がるはず(^^)
どうせやるなら効果的にやりたいもんな!
効果を上げる「ひと手間」もお伝えしますね!
- 本記事の筆者
「ふくらはぎ」について
まず「ふくらはぎ」ですが、この部分を指します。
ここにはいくつかの筋肉がありますが、一般的に「ふくらはぎ」を意味しているのは2つの筋肉です。
それが腓腹筋とヒラメ筋です。
この2つの筋肉は別々の筋肉なのですが、2つ合わせて「下腿三頭筋」なんて呼ばれたりもします。
どちらも同じ働き「底屈」をするからでしょう。
なぜ2つの筋肉なのに3頭筋なの?と少し混乱するかもしれませんが、解剖図を見ると理解できると思います。
図を見てみると、腓腹筋は途中で2つに分かれており、こうした形態をした筋肉を解剖学的に2頭と呼びます。
ヒラメ筋は別れていないので1頭とするので、合わせて3頭、つまり「下腿三頭筋」となるわけですね。
なるほど
ふくらはぎの豆知識ですね!
下腿三頭筋の働き
下腿三頭筋は主に足首に作用する筋肉です。
この筋肉が収縮するとアキレス腱が引っ張られ、足関節が「底屈」します
「底屈」は、つま先がピンと倒れる動きでした。
関節運動の呼び方は下の記事で覚えておくと便利ですよ。
ただ、この2つの筋肉、作用は同じなのですが、その付き方に異なる点があり、これがストレッチを考える上で重要な視点を与えてくれます。
みていきましょう。
腓腹筋
腓腹筋は先程も言ったように途中で2つに分かれている筋肉です。
更に重要なことは、踵(かかと)の骨から大腿骨(ももの骨)にまたがってついているということです。
つまり、足関節と膝関節をまたがっているということになります。
こういった2つの関節をまたぐ筋肉のことを「二関節筋」と呼びますが、腓腹筋はまさにこれであるということです。
「二関節筋?初めて聞いたなぁ」
ヒラメ筋
それに対し、ヒラメ筋はスネの骨から踵に付きます。
つまり、またいでいる関節は足関節の一つだけですね。
こういった筋肉を「単関節筋」と呼びます。
画像でそれぞれ見てみてください。
膝関節をまたいでいるかで、どんな違いが出るのだろ?
この後、解説しますからね!
下腿三頭筋のストレッチ
さて、やっとストレッチの話になりました。
下腿三頭筋のストレッチといえば、この姿勢です。
膝を曲げたバージョンでも行うと思いますが、これ、なんででしょう?
確かに!
考えたことなかったな…
まずはそれを解説していきましょう。
先程の二関節筋か単関節筋かという問題が関係してきます。
膝伸ばしたバージョン
まずは膝を伸ばしたバージョンについてです。
模式図にすると、
こんな感じですね。
膝を伸ばしたバージョンでは腓腹筋、ヒラメ筋どちらの筋肉もストレッチできますが、
膝が伸びているので、膝関節をまたいでいる腓腹筋をしっかり伸ばせるというのが重要な視点です。
なるほど!
では、膝が曲がったバージョンではどうなると思いますか?
膝曲げたバージョン
それに対し、膝を曲げたバージョンではヒラメ筋のみのストレッチとなります。
模式図にしてみると、
このように、膝が曲がることで腓腹筋がたるみ、ヒラメ筋だけがストレッチされることになるからです。
つまり膝を曲げたバージョンではヒラメ筋を集中的に伸ばすことができるということができます。
筋肉のつき方の特徴を利用しているんです。
それぞれ別の筋肉のストレッチだったっとは…!
下腿三頭筋をめっちゃ伸ばす方法
さて、BMSL流のストレッチも紹介させていただきます。
それは段差を利用したストレッチ方法です。
段差があればどこでもできますので是非試してみてください。
方法はとても簡単です。
つま先を段差の上にかけて、あとは踵を下に降ろしていくだけです。
体重をグーッと垂直にかけることができますので、とても効率的です。
もちろん膝を曲げたバージョンでも同様ですので二種類やってあげてくださいね。
家の階段でできる!
通勤のエスカレーターでできるな…
筋連結から考える
下腿三頭筋のストレッチをする上でもう一つ知っていてほしいことがあります。
それが「筋連結」という視点です。
筋連結?聞いたことないなぁ
筋連結とはその言葉通り、筋肉が他のものと連結しているということを指します。
多くの解剖学の教科書では、一つ一つの筋肉が完全に独立して骨に付着しているような書き方がされていますが、実際の筋肉は互いに重なったり、付着し合ったりしています。
解剖学の教科書では、それらの重なりや交わりを上手に分離した状態を載せているということです。
筋肉が単独でついているわけではないという視点から下腿三頭筋のストレッチを考えてみると、他部位へのアプローチをすることでより効果を上げることができる可能性があります。
足の裏との連結
下腿三頭筋はアキレス腱となり踵の骨に付着します。
しかし、実は踵の骨で線維のすべてが終了しているわけではなく、足の裏の「足底腱膜」と連結していることが解剖から証明されています。
つまり、下腿三頭筋の線維は一部、足の裏にまで連結しているということです。
ふくらはぎと足の裏って繋がってたんだ…!
となれば、ふくらはぎ単独でストレッチを行うよりも、足の裏にも視点をおいて介入できる方がより機能的かつ効率的にケアできるということになるのではないでしょうか。
では足裏のケアを具体的に見ていきましょう。
足裏のケア
まずはストレッチです。
これで足底腱膜をストレッチします。左右差なども自身の感覚でチェックできるといいですね。
そしてマッサージです。
ラップの芯を利用して足裏をマッサージしていきます。
体重をかけられるので、イタ気持ち良さが抜群です(^^)
ボールのように四方八方に転がらないところも良い点ですね。
バスケ選手にしてほしい足のケアは別記事にもまとめてありますのでぜひご覧ください。
ハムストリングスとの連結
続いて下腿三頭筋とハムストリングスの連結です。
何を持って連結というのかは様々な視点があると思いますが、今回は「筋膜」という視点で見てみようと思います。
筋膜って何?という疑問は専門家にお願いし、ここではその説明は省略させていただきます。
下腿三頭筋と関連する筋膜の連結は「スーパーフィシャルバックライン(SBL)」と呼ばれる筋筋膜の経路にあります。
このラインは頭から背中を通り足の裏まで繋がるという長いラインですが、そこにハムストリングスと腓腹筋の連結が示されています。
このサイトがとても見やすいのでチェックしてみてください。
実際に臨床でもアキレス腱に痛みがある患者はハムストリングスが非常に硬い場合が多く、ハムストリングスのストレッチを行わせることで対症療法的ではありますが疼痛が軽減するケースは非常に多いです。
なので、下腿三頭筋のみではなくハムストリングスのストレッチも並行して行うことで一つのユニットとしてケアができるということになります。
ハムストリングスのストレッチ
ハムストリングスのストレッチにおいて重要なことは骨盤をしっかりとコントロールすることです。
骨盤をしっかりと起こすことができれば効率よくストレッチができるのですが、図のように後ろに傾いてしまうとハムストリングスは緩んでしまいます。
このコントロールができればどんな姿勢でも上手にハムストリングスを伸ばすことができるでしょう。
こちらも別記事にまとめていますのでぜひご覧ください。
まとめ
お疲れ様でした!
簡単にまとめていきます!
①ふくらはぎ=下腿三頭筋
まずはここからでした。
ふくらはぎは、腓腹筋とヒラメ筋の2つの筋肉を合わせた呼び方です。
どちらもアキレス腱になり踵(かかと)につきます。
ただ、腓腹筋は「二関節筋」で、ヒラメ筋は「「単関節筋」なので、ストレッチには注意が必要です。
そうだったそうだった!
②下腿三頭筋のストレッチ
腓腹筋、ヒラメ筋をそれぞれ効率的にストレッチするには、
- 膝を伸ばしたバージョン
- 膝を曲げたバージョン
が必要です。
段差を使ったやり方も試してみてくださいね!
父さんもやっちゃお…
③筋連結とケア
こちらは少し専門的な部分でしたね。
下腿三頭筋は単独で存在しているのではなく、足の裏の足底腱膜やハムストリングスと連結していることがわかっています。
より効果的なケアを目指すのであれば、このあたりも視野に入れてしっかりと一つのユニットとしてケアしていきたいですね。
足の裏とハムストリングスのストレッチを追加するだけでも、下腿三頭筋のケアとしては格別な効果を発揮するでしょう。
足裏マッサージは気持ちがいいし、その後の感覚もいいから取り入れてみようかな!
おわりに
ふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチはとても身近なストレッチの一つです。
ただ、さらに深く理解し、ひと工夫することで効果はさらに上がるでしょう。
そのひと工夫、ひと手間がケガの予防やパフォーマンスアップにつながるんです!
ぜひ、試してみてください。
長文失礼致しました。
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