選手の膝を守りたい!
前十字靭帯を守りたい!
素晴らしい心がけですね!
ぜひサポートさせてください!
こんにちは!BMSL(@Basketball_MSL)です!
今回のテーマは、「前十字靭帯損傷のメカニズム」についてです。
実はこのテーマ、現在進行系で様々な研究者たちによって分析が進められています。
つまり、明確な答えが出たと言い切ることはできないのですが、細かい部分を省けば、ある程度その答えは出ているようです。
前十字靭帯(以下ACL)を損傷するメカニズムを知ることで、予防のために何をすべきかがわかるようになります。
特に、女子選手を指導する方には知っておいてほしいと思います。
さて、本題に入っていきましょう!
- 本記事の筆者
前十字靭帯損傷のメカニズム
すでに、「ACLがどのようにして切れるのか?」という疑問にはある程度の答えが用意されています。
細かい関節の運動には議論の余地があるようですが、ACLが切れる危険性のある膝の動きは、
「軽度屈曲位での外反+回旋ストレス(内旋か外旋)」
ということで一定の見解が得られています。
回旋に関しては、内旋で切れる、という見解が増えているように思いますが、ACL損傷に関わる動きで一番重要なのは膝関節の「外反」です。
膝の「外反」??
あまり聞き慣れない言葉ですよね。
詳しく見てみましょう!
前十字靭帯損傷と膝の「外反」
膝関節の「外反」と聞いてピンとくる方は少ないと思います。
あまり日常では使わない言葉ですので、一般の方でもイメージできるようになるといいなと思います。
膝の外反とは、膝関節を中心として外側に反る状態のことを指します。
つまり、図で示すと
このような状態のことです。
「Knee in」というと知ってる方も多いかもしれません。
「Knee in」は知ってる!
なぜ「外反」が危険なのか
ではなぜ「外反」がACLの損傷に関係してくるのでしょうか。
たしかに…
なんで外反がだめなんだ?
一般の方に向けて、ここまで解説しているものを読んだことがないのですが、難しいことではないので書いていこうと思います。
ACL損傷において外反が危険と言われる理由には、骨の形状が関係しています。
骨の形状?
図を用意しました。
膝が「外反」の状態になると、モモの骨(大腿骨)の外側と、スネの骨(脛骨)の外側のみが接触するような状態になります。
つまり、接触面が片方だけになり不安定性が高まるのです。
例えば、
椅子の片側が浮いているような状態、というとわかりやすいでしょうか。
不安定ですね…!
さらに、両方の骨の外側の関節面は互いに凸(出っ張っている)ため、不安定性はさらに増加します。
なんと…!
さらにさらに、図にも書きましたが、関節面というのは濡れた氷同士よりもツルツルしているといわれており、
外反という状態は、濡れてつツルツルの丸い氷同士の一点に体重がのっているような状態になるということです。
ふ、不安定すぎる!
そこに、ジャンプの着地やドライブの踏み込みなど、勢いのある衝撃が加わったらどうなるでしょうか。
そうです。
グリッと関節面がずれ、靭帯に負担が生じ、場合によっては切れてしまうのです。
これがACL損傷において「外反」が危険と言われる理由です。
外反が危険な理由をイメージしていただけたでしょうか。
前十字靭帯損傷と「Knee in Toe out」
これはよく聞くんだけど。
ACL損傷にまつわる言葉として、
「Knee in Toe out」 といった言葉を聞いたことがある方もいると思います。
つまり、膝が内に入り、つま先が外を向くというやつです。
わかりやすい動画がYouTubeにあるのでそちらでみてみましょう。
動画では、この動きがACLに過剰なテンション(張力)を生じさせ、その衝撃によっては切れてしまうと説明しています。
これは冒頭に書いたとおり、「軽度屈曲位での外反+回旋ストレス」の説明であり、この場合の回旋ストレスは外旋ということになります。
膝関節の外旋とは、膝の向きに対してつま先が外を向く状態のことです。
ただ、この外旋はACLにとって強い張力を生む姿勢ではないということが解剖学的な知見で明らかであり、
また、研究者による多くの受傷シーンの分析により、「違うのでは?」という意見が多くなってきています。
Knee in Toe outが原因ではないのか?
最近ではそうした意見が増えているように感じますね。
「Knee in Toe out」は安全か
Knee in Toe outによってACL損傷が起こらないのであれば、この姿勢は安全なのでは?と考える方もいると思います。
私の個人的な考えとしては、それは違います。
Knee in Toe out 自体ではACL損傷が起こらないとしても、この姿勢は膝の外反を誘発します。
そうだったそうだった。
外反の危険性は先程書いたとおり、関節が非常に不安定な状態になるので、ACL損傷の一番の危険因子といっても過言ではありません。
個人的には、
Knee in も Toe outも理解は必要ですが、
とにかく「膝の外反」を防ぐことが大切だと考えています。
なるほど。
膝を守るなら、「外反の予防」か!
ACL損傷時の特徴的な姿勢
一般の方であれば、ACL損傷の特徴的な姿勢は「膝関節軽度屈曲+外反」という理解で問題はないと思います。
実際にSNS上にあふれている予防トレーニングの殆どが外反を抑制するためのものです。
BMSLでもすでに記事にしています。
興味のある方はチェックしてみてください。
膝の「外反」を防ぐために
ACL損傷には接触型と非接触型があります。
詳しくは、別記事を参考にしていただければと思います。
接触型損傷の場合は、相手からのタックルなどの外力によって膝の外反が強制されるので、この場合のACL損傷を予防するのはなかなか難しいというのが現状です。
しかし、非接触型の場合は、自らその姿勢となりACLを損傷します。
つまり、自分のせいで「外反」が生じるということです。
この姿勢は、スポーツにおいて機能的なものではありません。
何かしらの機能不全(可動域や筋力)が原因である可能性が高く、簡単に言えば失敗動作であることが多いです。
そうした身体的特徴のある選手(外反になりやすい選手)が、ジャンプの着地、ストップ、ターンなど、激しい動きを競技動作で求められると…
危ないんですね…!
なので、ACL損傷を予防するためには膝の外反の原因となっている要素を改善し、
競技動作中で膝が外反しないようにしなければなりません。
「膝を内に入れるな!」と口でいっても改善しないのは、それなりの理由があるんです。
Knee in Toe outの修正には下の記事が参考になるかもしれません。
なるほど。
その場では修正できるけど、動きの中では元通りだもんな…。
チーム内で「外反しやすい選手」をピックアップしておくのも大切なことでしょう。
そうした選手には別メニューの指導もマストになるでしょう。
まとめ
前十字靭帯損傷について、最低限知っておいて頂きたいメカニズムについてまとめました。
どのような動作が危険なのか、どのような姿勢となることで損傷するのか、イメージできましたでしょうか。
まずはそのメカニズムを知り、競技の特徴とすり合わせ、予防トレーニングの重要性を知って頂けると幸いです。
予防トレーニングも調べてみよう!
選手の膝を守るため、よろしくお願いいたします。
私もがんばります!
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