こんにちは!BMSL(@Basketball_MSL)です!
シンスプリントにショートフットが良いらしい…!
お!これは気になるかも。
シンスプリント(Medial Tibial Stress Syndrome)は、多くのアスリートが一度は経験する、よくあるスポーツ障害のひとつです。
この記事では、シンスプリントの原因とショートフットエクササイズの予防効果について研究論文をもとに詳しく説明します。
- 本記事の筆者
シンスプリントとは?
いわゆるシンスプリントは、脛骨内側ストレス症候群(Medial Tibial Stress Syndrome)と呼ばれたり、脛骨過労性骨膜炎と呼ばれたりするスポーツ障害のひとつです。
高校のころなったわー
脛骨の内側に痛みを引き起こす障害で、特にランナーやジャンプを多用するスポーツ選手に多く見られます。シンスプリントは、過度の運動や不適切なトレーニング方法が原因で発生することが多く、早期の対策が重要となります。
長距離走の選手やサッカー、バスケ選手にも多い印象です。
シンスプリントの原因
シンスプリントのベースとなる原因はオーバーユースです。
要は運動のし過ぎが一番の発症リスクとなります。
ただ、他にリスクを高めてしまう可能性がある要素が研究によっていくつか示されています。
大まかな内容をまとめてみましたよ!
練習しすぎ以外にも原因があるの?
①体重・身体組成
- 体重指数(BMI):30 kg/m²以上 (Winters, 2020)
太っているとなりやすいんだ!
ちなみにバスケ選手の適正BMIは23~24くらいみたいです。
180センチあるとして、74㎏~78㎏くらい。
②下腿の筋肉
- 足首の筋肉のアンバランス (Bhusari & Deshmukh, 2023)
- 弱いor緊張した腓腹筋 (Bhusari & Deshmukh, 2023)
- 足首の底屈筋の持久力の欠如 (Mattock et al., 2021)
- 等速性の同心性外反力の強さ (Mattock et al., 2021)
- 神経筋のリクルートメント戦略の変化 (Mattock et al., 2021)
- ヒラメ筋の過剰な活動 (Hunt & Smith, 2004; Murley et al., 2009; Naderi et al., 2020)
やはり筋肉関係は多いですね。
主に「弱さ」が気になるところですが、
「ヒラメ筋の過剰な活動」は今回のポイントになるところです。
③アーチの低下
- 過度の足の回内 (Menéndez et al., 2020)
- 舟状骨の低下 (Menéndez et al., 2020)
- 後足および前足の外反 (Okunuki et al., 2019; Takabayashi et al., 2021)
足のアーチが低下すると様々な弊害が生じますが、シンスプリントもその一つですね
アーチについての詳しい内容は別記事にありますのでご興味のある方はぜひご覧ください。
全て紹介できたわけではありませんが、どれも研究によって示されたものになります。
たくさんあるなぁ
どれも一つでは決定的な原因とはならず、これらと運動のし過ぎ(オーバーユース)が組み合わさることで、脛骨(スネの骨)にストレスが増加し、発症リスクが高まるとされています。
シンスプリントの治療
どんな治療が一般的なの?
当時は氷でとにかくアイシングしていた記憶…
文献に示されたものは以下の通りになります。
- 冷凍療法(クライオセラピー)
- ストレッチング
- 筋力強化
- 靴の矯正具(インソール)
- 衝撃波療法
これらの治療法は症状(主に痛み)を和らげるために実施されますが、どの治療もこれによって治るといえるほど科学的な根拠はないようです。
そのためか、多くの文献で予防が第一の治療法とされ、その重要性を強調する内容をよく見かけます。
私も多くのシンスプリントの選手のリハビリを担当してきましたが、まずは運動の強度を落とすことが最も症状を和らげる方法かなと思います。
安静(Rest)か。
もう少しいうと、患部の安静です。
患部以外の部位は再発予防のためにガンガントレーニングをすることが多いんですよ。
そういった経験からも、予防(再発の予防も含めて)の重要性は強く感じますね。
「最新の怪我へのアプローチ」はこちらから↓
「アイシングの注意点」に関してはこちらから↓
ショートフットエクササイズの効果
まってました!
ショートフットエクササイズは、足部の内在筋を強化することで、アーチを強化し、足部の安定性や衝撃吸収機能を高めることを目的としたエクササイズです。
シンスプリントの予防に効果的とされているのは、ショートフットエクササイズの
- 足部の安定性向上
- 衝撃吸収機能の向上
が脛骨(スネの骨)へのストレスを軽減させるからと考えられますが、もうひとつ面白い効果が示されました。
ほう?
「ショートフットエクササイズはヒラメ筋の活動を低下させる」
研究によると、ショートフットエクササイズは、シンスプリントをもつ研究参加者のグループでは走行速度9 km/hおよび15 km/hで、症状なしのグループでは15 km/hでヒラメ筋の活性化を減少させる効果があることが示されました。
これは神経筋効率の改善および脛骨ストレスの軽減を示唆しています。
先ほど示したポイントになりますが、
ヒラメ筋の過活動がシンスプリントのリスクファクターであることはすでに研究で示されていましたが、これはその筋活動を抑えることが出来るということなのです。
無駄な力みがなくなるのかな
言ってしまえばそういうことでしょう。
足がしっかりと機能してくれれば、下腿の筋が余分に働く必要がなくなりますからね。
病院で出会うシンスプリント選手でも、たしかに下腿の筋の過剰活動はよくあるように思います。
やるだけで予防効果か!
やるしかないじゃん?
最近足の重要性は特に注目されていますしね。
ぜひ選手に教えてあげてください!
まとめ
シンスプリントは、パフォーマンスを上げたいアスリートにとって避けたいスポーツ障害の一つです。
練習して上手くなりたいけど、やりすぎると発症する、、、
やっかいなケガです。
その発症リスクを低減するためにショートフットエクササイズが有効である可能性が研究によって示されました。
ショートフットエクササイズは、おもに
- アーチ構造の強化
- 衝撃吸収機能の強化
- 神経筋機構の改善
- ヒラメ筋の過活動防止
によってシンスプリントの予防に効果的と考えられます。
ぜひ日頃のエクササイズに追加していただければと思います。
ショートフットかなり手軽にできるので、ぜひ取り入れて欲しいエクササイズです!
今回参考にさせていただいた研究論文です。
足部トレーニングの詳細については別記事をご覧いただければ思います。
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