こんにちは。
今回のテーマは「ディフェンスの姿勢」です。
これまでも、バスケ選手の膝痛と絡めて少し記事にもしてきました。
実はかなり根深い問題であると思います。
ディフェンス本質を考えれば、そこまで複雑ではないように感じるのですが、
これまでのバスケの伝統がそれを邪魔している印象です…。
今回は、少し踏み込んでこのテーマについて書いてみようと思います。
ディフェンスの姿勢をどうするか
この問題を突きつけられているのは、ミニバスの指導者の方々ではないでしょうか。
つまり、初めてバスケをする子たちに、どのようにしてディフェンスの姿勢を教えるのか?という問題です。
実は多くの指導者から相談されることでもあります。
よくあるのは、「腰を落とすにはどうすればよいか」、「子どもが胸を張ることができない」、「背中が曲がってしまうのだが、どうすればよいか」といったものです。
こういった質問を受ける中で、私が感じることは、指導者にはディフェンスの姿勢のイメージがしっかりとある、ということです。
シュートフォームとは違い、指導者の方々の頭には「理想の姿勢」があるようです。
それがおそらく、「腰を落とす+胸を張る+体幹を起こす」といった姿勢です。
この姿勢が非常にレベルの高い姿勢であることは以前記事にしましたので、チェックしていただけると幸いです。
実はこの姿勢の問題は、私のような医療提供者としては由々しき問題です。
なぜなら、この姿勢を保持することを強いられると、子どもの身体機能では高い確率で大腿四頭筋のOver Useを引き起こすからです。
大腿四頭筋のOver Useは子どものスポーツ障害である骨端軟骨障害を引き起こします。
私がこの姿勢を保持させ、ゆっくりとサイドステップする練習に否定的な意見を持っているのはこのためです。
なので、指導者の方にディフェンス練習に関してアドバイスを求められれば、障害予防の観点と、トレーニング原理の観点から説明し、より良い練習法を伝えてきました。
ただ、これまではこの「理想の姿勢」に関してはあまり触れてきませんでした。
例えば「腰を落としすぎている」や「体幹は垂直にする必要はない」といったような具体的な姿勢に関する修正案についてです。
それは、この姿勢が競技としての利点があるものだと指導者の方に言われたことがあったからです。つまり、
「腰を落とす→速くサイドステップするため」
「胸を張る+体幹を垂直に立てる→ハンズ・アップしパスをカットするため」
というように、たとえ障害予防の観点から見てもおかしくても、譲ることはできない姿勢であるということです。
しかし今回はこの固定概念とも言える伝統的考え方にメスを入れさせていただきます。
障害を引き起こす姿勢ではパフォーマンスも上がりません。
もっと効率的な「ディフェンスの姿勢」があり、練習法があるはずなのです。
急にすべての詳細を一つの記事にするは難しいので、
今回の記事は今後の記事の導入としてディフェンスの姿勢に関する問題提起をしていこうと思います。
腰は低ければ良いのか?
まずディフェンスを教えるに当たり、腰を落とすということを教える方は多いと思います。
なぜでしょうか。
腰を落とすことがディフェンスにとってどんな良いことがあるのでしょう。
ディフェンスは相手の進行方向に回り込む必要がありますので、サイドステップが非常に重要な動作となります。
さらに速く動けなければ、オフェンスに抜かれてしまうので、「より速く」ということはポイントとなるでしょう。
はたして、より速くサイドステップをするためには腰を落とす必要があるのでしょうか。
そしてその程度はどのくらいなのでしょうか。
これは膝の負担にも直結する問題です。
できれば明確な指標により無理のない腰の落とし方を見つけたいものです。
ハンズアップの意義
私は、ハンズアップによってパスをカットするとか、大きく見せて相手を威嚇するとか、そういった意味があると指導を受けてきました。
実際にハンズアップはどれほどの効果上がるものだと思いますか?
練習ではずっと手を挙げ続ける練習をしますが、実際の試合でそんな事はありえません。
相手との接触に備えたり、自分のバランスを取ったり、手をずっと上に挙げておくことはディフェンスの本質を考えれば不利になることもあります。
ディフェンスにとってハンズアップはどこまで重要な要素なのでしょうか。
「胸を張る」と「体幹を起こす」
練習中に「胸はれ~」とか「身体起こせ~」といった声掛けがされることがあります。
「下向くな~」などもありますね。
ディフェンスという役割である以上、オフェンスを目で見なければいけないので、基本的には顔面は床に対して垂直を維持することが理想だと思います。
これを達成するためには、背骨のコントロールが欠かせない身体機能になります。
特に、腰を落とすことが求められている以上、ただの立位のように簡単なコントロールではありません。
先程書いた声掛けの内容を考えると、逆説的に言えば選手にとってはこれが難しいことを物語っています。
声をかけて意識しなければできなくなってしまう姿勢であるということですから。
そんな姿勢が試合で使えるのか?実際に効果的な練習なのか?という疑問もありますが…
まずはこの「胸を張る」と「体幹を起こす」を区別する必要があると思っています。
「胸を張る」とは胸椎の伸展の動きであり、これは身体の中での問題です。
それに対し、「身体を起こす」とは身体と床との相対的な角度の問題です。
いかがだったでしょうか。
明確にこれらの疑問について、パフォーマンスと障害予防の観点から説明ができますでしょうか。
私は病院で働く理学療法士ですので、どちらかと言うと障害予防ありきのパフォーマンスだと思っています。
「速く動けるけど、痛くなる」では選手にとって良いことがありません。
今後、ディフェンスの姿勢についていくつも記事を書いていきます。
最終的には「理想のディフェンスの姿勢」を示せること、指導方法を示せることを目指していきます。
これまでの指導法が間違っていたとまでは言いませんが、本質を考えれば、かなり非効率的であることは間違いないと思います。(痛みを引き起こしているという可能性も含めて)
すこしでも良い練習ができるようにBMSLではサポートをさせていただきます(^^)
長文失礼いたしました。
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