こんにちは。BMSL(@Basketball_MSL)です。
今回のテーマはオスグッド・シュラッター病の管理の仕方です。
オスグッド・シュラッター病(以下OSD)は小学生から中学生に多く発症するスポーツ障害です。
軽症であればバスケをしながら治すこともできますが、状態によってはバスケを休む必要性が出てきます。
安易に、「やりながら治せます!」というようなフレーズに釣られず、
正しい知識でもって患部の状態を管理し、
その上で、やりながら治せる状態なのか、一旦休む必要があるのかを考えられることが理想です。
まずはしっかりと管理することが、痛みのないバスケへの近道です。
さぁ、具体的に見ていきましょう!
オスグッド・シュラッター病のメカニズム
OSDは子どもの成長期に発症する骨端軟骨障害の1つです。
症状としては、膝前面の痛みが主なもので、スネの骨が出っ張るといった変形も伴うことがあります。
この変形は、スネの骨が大腿四頭筋によって引っ張られることで持ち上げられ、隆起することで生じます。
つまり大腿四頭筋が発生させる張力に成長中の柔らかい骨が負けてしまうというメカニズムです。
なので治療は、如何にしてこの張力を減らすかがポイントとなってきます。
OSDはスポーツ障害ですので、それを管理する上で意識したいことは主に、
- 患部の管理
- 患部外の管理
の2つです。
過去に記事にしていますので、そちらもご参照ください。
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オスグット・シュラッター病「患部の管理」
OSDも他のスポーツ障害と同様、微細損傷の積み重ねによって痛みが生じていると考えて良い病態です。
なので、まずは患部の回復と損傷のバランスを取り戻すことがとても重要になります。
練習後や練習中にいつも痛いというのは組織の回復が間に合わず、損傷がさらに積み上げられている状態です。
なので、どうにかして回復の割合を高める必要があります。
一番手っ取り早いのは、バスケを休んで安静にすることになります。
ただ、痛みの程度や状態は様々ですので、一概に「休め!」で全員の問題が解決できるわけではありません。
なので、その選手の膝の状態にあった患部の安静度を決めることが必要になります。
以下に私が臨床で一つの目安としている指標を紹介します。
(必ず医師の診察を受け、復帰への方針を相談しましょう。)
・ 歩いているだけで痛い → 運動おやすみ(歩いて痛くなくなるまで)
・ ランニングで痛い → 痛くない運動OK、練習も痛くない範囲でOK
・ ダッシュで痛い → リハビリをすることを条件に全練習許可(ただし徹底して行うこと)
・ バスケはできるが痛い → 同上
※あくまで私の使っている指標です。治療を行っている場合は必ず担当医の指示に従ってください。
あくまで目安ですが、
このような安静度の調整によって、患部の痛みの状態をチェックしていきます。
歩いて痛みが生じるのであれば、残念ながら運動ができる状態ではないだろうと考えます。
ただ、ダッシュで痛い程度(他の動きでは痛みが生じない)であればバスケの練習を休ませるほどではないことが多いです。
もちろんあくまでバスケの練習です。ダッシュの練習はお休みになります。
“痛い動作は徹底して回避する”のが理想的です。
大事なのは痛い動きを繰り返させないことです。
そして、セルフケアをしっかりとすること。
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患部の状態を探る
次に、患部の状態を探る簡単な方法もお伝えします。
OSDのメカニズムである張力を利用した検査で、痛みの度合いを見ていく検査です。
これにより、どれくらいの張力で痛みが出てしまうのかを推測していきます。
まずは、筋肉に力を入れないテストです
テスト①
このようにして膝を曲げることで患部に張力をかけます。
オスグッドの痛みは張力によって骨が引っ張られることで生じる痛みなので、患部にかかるストレスとしては同じです。
ただ、このテストによって生じる張力はかなり低いものです。
なので、弱い張力でも痛みが出る→状態はあまりよくない
と考えることができます。
テスト②
うつ伏せで膝を曲げます。これはテスト①よりも、強い張力がかかります。
そのためモモの前が伸びる感じがするかもしれません。これはより強い張力がかかっている証拠です。
上記テスト①、②において痛みが生じる場合は、患部の状態が良いとは言えません。
なぜなら、先程も言ったようにこの程度の張力で痛みが出るとなると、さらに強い張力がかかるスポーツに関わる動きでは間違いなく痛みが生じるからです。
次に、筋肉に力を入れるテストです。
こちらのテストのほうが、筋肉の働きによる張力がかかるため、強度が強いものが多いです。
大腿四頭筋セッティング
まずは最も簡単な大腿四頭筋セッティングをやってみましょう。
ももの前の筋肉に力を入れて痛みが生じるかをチェックします。
膝の角度が浅いのでそこまで強い張力がかかるわけではありません。
ここで痛みが生じてしまう場合は、まだ無理ができる状態ではないと考えられます。
テスト③ ⇛ ④
更にテストの強度を上げていきます。
テスト③
まずは単純に膝を伸ばします。90°程度曲がった状態からしっかり伸ばします。
このテストでは自分の力で張力を発生させ、その力を利用して関節を動かして痛みが出るかを見ます。
関節の動く範囲が広がるので負荷としては少し大きいです。
テスト④
次に、足首付近に抵抗をかけて同じ運動を行います。
抵抗が加わるので、患部にかかる負荷はかなり強くなります。
この抵抗をかけた状態で痛みがなければかなり状態は回復してきていると言えるでしょう。
テスト⑤、⑥
最後は自分の体重を支えるという膝の根源的な役割を試すテストです。
2つの姿勢で痛みが生じるかを見ていきます。
⑤のスクワットはハムストリングスをよく使う動きなので、患部には強い張力は加わりません。
とはいえ、スクワットなのである程度はかかります。
⑥のスクワットは患部に相当に強い張力が加わります。
なので、①~⑤で痛みが生じる選手にはおすすめしません。
これらの検査で痛みが全くなくなるのが理想ですが、
④、⑥のテストで違和感や弱い痛みがある程度であれば、選手によっては試合も復帰可能な場合がある印象です。(リハビリは継続する前提)
これで痛かったから運動をしてはいけない、というわけではありません。
ただ、痛いのに無理しても良いことはあまりありません…。
オスグッド・シュラッター病「患部外の管理」
実は、OSDのリハビリの肝は、患部外の管理にあります。
患部外とはつまり、膝以外の部位ということになります。
OSDは大腿四頭筋の使いすぎによって発症するものですが、そもそも、なぜ大腿四頭筋を使いすぎてしまうのかということを探っていくと、
膝以外の部位の「硬さ」や「弱さ」が大きく関係していることがほとんどです。
つまり、痛めた膝以外の部位(体幹、股関節、足関節など)を如何にして管理していくかが、痛みのないバスケ復帰への近道なのです。
ストレッチと筋トレ
主な患部外の管理はストレッチと筋トレによって、硬さや弱さを改善していくことです。
そうすることで、大腿四頭筋を使いすぎてしまうような競技姿勢や動作を修正することが可能となります。
これは、OSDの予防にも非常に有効な方法で、日々の積み重ねによってはバスケのパフォーマンスを高めてくれる可能性も十分にあります。
筋トレに関してはすでに記事にしているのでそちらを御覧ください。
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まとめ
オスグッド・シュラッター病の管理についてまとめてみました。
OSDの選手は、まず自分にどの程度の安静度が必要なのか、
どの検査で痛いのかをチェックすることをオススメします。
OSDは放っておいても良くなりません。
骨の成長が止まるまで(身長の伸びが止まるまで)、バスケををあきらめるというなら話は別ですが…。
できるだけ早く対応し、痛みのないバスケを目指しましょう!
長文失礼いたしました。
*追記(2020/5/16)
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コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 以前の記事では、主に患部の管理と患部外の機能改善としてストレッチについて書きました。 […]