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すでに常識?! 有酸素運動と無酸素運動について

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こんにちは。

今回のテーマは「有酸素運動と無酸素運動」です。

それぞれのメカニズムをできるだけ簡単に書いていこうと思います。

目次

ATPを知る

有酸素運動と無酸素運動と聞いて、長距離走と短距離走をイメージして理解している方は多いと思います。

有酸素運動は継続時間の長い、ある程度ゆったりとした運動で、

無酸素運動は継続時間が短く、強い強度で行う運動であるという認識だと思います。

これは間違いではありませんし、知っていれば一般的な知識としては十分です。

しかし、BMSLを読んでいる方にはもう少し深くこの有酸素運動と無酸素運動について知ってほしいのです。

なぜならば、これを理解すると、栄養やトレーニングの組み立てなどにおいて理解が進むからです。

そのために、まず知っていただきたいのが「ATP」です。

ATPとはアデノシン三リン酸の略で、筋肉が収縮するためのエネルギー源です。

ATPは体内に約80~100g貯蔵されていると言われておりますが、身体を動かすためにはこれだけでは全く量が足りません。

さらに、このATPは運動によって全部使い切ってしまうと細胞の機能が維持できなくなるため、運動で貯蔵してあるATPをたくさん使うことはできないのです。

実験によって疲労困憊状態にしたとしても、ATPは50~60%は使わずに維持されているそうです。

では、運動を継続したい場合にはどうすればよいのでしょうか。

答えは、ATPを新たに作り出し筋肉に供給すればよいのです。

そうすれば、ATP貯蔵量(濃度)が一方的に減少することはなく、筋肉も運動を継続できます。

そのATPを筋肉に供給するメカニズムにおいて、酸素を使用するか、しないか、がポイントです。

有酸素運動ではATP供給にあたり酸素を使用します。それに対し、無酸素運動ではATP供給に酸素を必要としません

ATPを筋肉に供給するために酸素を使う  :有酸素性機構

ATPを筋肉に供給するために酸素を使わない:無酸素性機構

 

無酸素性機構

まずは無酸素性機構からです。

このメカニズムによってATPが供給され、達成される運動は無酸素運動となります

この無酸素性機構には2つの過程があります。

ホスファゲン機構

おそらく聞いたことはないと思います。

これは最速・最短で筋肉にATPを供給する機構です。

しかし、残念ながら持続性はありません。なので運動の開始時にだけ役割を果たしてくれます。

また、この機構はダッシュなどの高強度の運動だけでなく、ジョギングなどの弱い運動でもまず最初に働く機構です。

さて、問題はそのメカニズムです。

ホスファゲン機構の場合は筋肉内のATP濃度を減少させないために、もともと筋肉に蓄えてある別の物質「クレアチンリン酸」を使用します。

クレアチンリン酸を分解することで迅速にATPを供給することができます。

しかし、筋肉内にもともと蓄えているクレアチンリン酸は少量であるため、このホスファゲン機構はすぐにATPを供給することはできなくなります

これが運動の開始時だけ役割を果たすという理由です。

ホスファゲン機構

・クレアチンリン酸を分解し、迅速にATPを供給してくれる(最速

・筋肉内にクレアチンリン酸が少ないため、すぐに供給はできなくなる(最短

 

解糖

ホスファゲン機構で供給が追いつかなくなると、次に働きだす機構が解糖です。

ホスファゲン機構はとても短い時間しか働きませんので、もう少し運動を継続させるためには別のATP供給機構が働く必要があります。

ちなみに、ホスファゲン機構による運動は7~8秒だと言われています。
が、厳密にはホスファゲン機構だけを最初に使うわけでもないようなので、あくまで理論的には、といったところなのでしょう。

 

解糖は筋肉内のグリコーゲンを分解することでATPを作り出します。

グリコーゲンの分解には少々時間を要するので、ホスファゲン機構よりは供給速度は遅いようです。

しかし、クレアチンリン酸よりも筋内グリコーゲンの量は遥かに多く、血中などからも供給することができるため、持続時間が比較的長いことが特徴です。

とはいっても無酸素性機構に分類されるため、持続時間は短いです。

 

解糖によって乳酸という物質が生成される。

以前はこれが疲労の原因であるとされてきたが、そうではないということが明らかになっている。

筋疲労についてはしっかり勉強してから記事にしようと思う。

有酸素性機構

有酸素性機構は主に安静時や低強度の運動時にATPを供給します。

実はかなり複雑な化学反応によってATPを供給するのですが、そこに酸素が利用されることによってとても効率よくATPを産生することができます。

解糖ではグルコース1つからATPは2つ生成されますが、有酸素性機構の場合、1つのグルコースから38ものATPが生成されます。

ものすごい効率ですよね。

ですが、様々な化学反応を経る必要があるため、生成には時間がかかります。

そのため、短時間に沢山のATP を必要とする高強度の運動には向いていません。

また、有酸素と言うだけあって酸素が十分に利用できる状態でなければこの機構は破綻します。

例えば、長距離走であってもペースが速くなれば有酸素での供給が追いつかず、解糖によるATP供給が行われます。

そうなれば筋肉内のグリコーゲンが枯渇すれば運動は継続できなくなってしまいます。

つまり、有酸素運動をしているからもう無酸素運動にならないわけではありません。

運動中に有酸素と無酸素のATP供給機構の割合は変化しており、その運動に適した形でATPを筋肉に供給しているということです。

そして、これらをどのように使い分けているかと言うと、これは運動の強度、次に運動の継続時間によって決まっています。

有酸素機構か無酸素機構かの決定は以下によってなされる

・運動強度

・運動の継続時間


いかがだったでしょうか。

少々息切れしました…。難しい内容でしたね…。

ただ、有酸素も無酸素も要はATPを筋肉に供給する方法である、ということはわかっていただけたのではないでしょうか。

競技でパフォーマンスを発揮するためにはこのATPの供給は欠かせません。

トレーニングによって、競技にあった供給方法の効率を上げる必要があります。

さて、バスケットはどの供給機構を鍛えるべきでしょうか。

記事にするので楽しみにしていてください。

また、クレアチンリン酸グリコーゲンなど少し栄養に関わるような単語も出てきましたね。

私も勉強しながら、できるだけ科学的な知識を伝えていこうと思っています。

長文失礼いたしました。

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この記事を書いた人

BMSL管理人のアバター BMSL管理人 理学療法士

“痛みのないバスケ”を目指し活動している理学療法士です。
バスケ選手の身体の使い方を分析し、それに必要なケア・トレーニング方法などを日々考えています。
機能解剖学的視点から新たなシュート理論を構築中です。

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